施設・設備・体制

人工関節・関節鏡センター

整形外科疾患は、人口の高齢化とスポーツ活動の普及に伴い、その数も種類もとても多くなり、個々の疾患の治療には、より高度に専門的な知識や技術が必要になりました。 そこで、当院では、従来から積極的に行ってきた関節外科(四肢関節外科)治療を、より高度に専門化させ、安心して患者さんが治療を受けられるようなスタッフと設備を整えることで、人工関節・関節鏡外科の専門治療を行っていくセンターを新設することにいたしました。

副院長兼人工関節・関節鏡センター長 片桐 祐司
人工関節手術

股関節や膝関節に変形を起こす病気には多くの原因がありますが、そのなかで患者数の最も多い病気が変形性関節症です。日本人の場合、股関節と膝関節では、少し発生原因が違うようです。日本人の女児は、股関節の臼蓋(くぼみの部分)が浅いことが多く、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全が小児期に見られ、これが中年以降になり関節軟骨の消失が進むと臼蓋と大腿骨頭の適合性が失われ、股関節の変形と破壊が起きて関節症を起こします。
一方、膝関節症は、肥満と老化や下肢筋力低下などの原因により、膝関節機能低下を起こし、膝関節軟骨の変性や消失を起こし発症いたします。
股関節でも膝関節でも、病状が進めば手術治療の対象となり、骨切り手術や人工関節置換術を行うことになります。以前は、骨切り手術を行うこともありましたが、治療効果にばらつきがあり、術後骨切り部位の骨癒合に時間がかかり治療期間が長引くため、最近は、安定した治療効果で治療期間も短縮できる人工関節置換術を行うことが多くなってきています。
人工関節置換術の術前2週間より自己血輸血のための貯血を行い、さらに術後にも出血した血液を回収する装置を用いることで、自分の血液のみで他人の血液を使わない安全な自己血輸血手術が可能となっています。
また、手術は、人工関節手術専用のクリーンルームで呼気排出装置をつけたヘッドギアをつけて行い、手術時間は1時間から2時間程度で、麻酔科医による麻酔の下、安全に行われています。

関節鏡視下手術

膝と肩の外傷や疾患がこの手術の良い適応となります。以前は、大きな皮膚切開を入れないとできなかった手術が、1~2cmの小さな皮切から内視鏡や鉗子類を入れて、モニターで見ながら手術を行うことができるため、術後の早期回復が可能となりました。
膝ではスポーツや交通事故などの外傷で起こる前十字靭帯断裂と半月板損傷の手術が多いです。前十字靭帯断裂はただ縫合しても治らないため、大腿の裏にあるハムストリングス(腱)を移植する二重束再建術を関節鏡下で行います。半月板断裂がある場合、できる限り切除はせず縫合術を行っています。
また肩では、腱板断裂と習慣性肩関節脱臼の手術を行っています。特に、腱板断裂は外傷だけでなく加齢変化による変性でも起きるため、その数は年々飛躍的に増加しています。この腱板断裂に対して全例を鏡視下手術で行っている病院は、全国でもまだまだ少なく特色あるセンターと考えています。

ページトップへ戻る